そのワタ、残さないでください
はじめてゴーヤを漬けたとき、ぬかオジはワタを軽くこそげただけで、ぬか床に埋めました。
出てきたのは、口に入れた瞬間に眉が寄るような、まっすぐな苦みでした。家族はひと切れで箸を置きました。
いま思えば、原因はぜんぶ下ごしらえにありました。ゴーヤの苦みは、ぬか床に入れる前にほとんど決まります。 白いワタを残さないこと、塩で板ずりをすること。この二つだけで、あのときの苦さは出ません。
ゴーヤが苦手なのではなく、下ごしらえが足りていなかっただけかもしれません。
夏のあいだ、ぬかオジの冷蔵庫には、たいていゴーヤが一本入っています。
旬のこと
ゴーヤが出回るのは、6月から9月ごろです。なかでも7月から8月は量が多く、肉厚で新鮮なものを選びやすくなります。
いちばん厚みのあるものに出会えるのが、この二か月です。
選び方
- 濃い緑色で、色ムラが少ないもの(黄色っぽいものは熟してきています)
- イボが大きく、硬く張っているもの
- 持ったときに、ずっしりと重いもの
押してみてブヨブヨとやわらかいものは、鮮度が落ちています。イボの張りは鮮度がそのまま出ます。ここを見るのがいちばん確実です。
準備するもの
ゴーヤ 1本(200〜250g) / 塩 小さじ1(約5g)
つくりかた
-
縦半分に切って、ワタと種をこそげ取る
ヘタを落として、縦半分に切ります。中の白いワタと種を、スプーンで底からこそげ取ってください。苦みの多くは、この白いワタに残っています。
白い部分が見えなくなるまで、しっかりと。ここを甘くすると、仕上がりがまるで変わります。 -
塩をふって板ずりする
この板ずりが、いちばん大事な一手間です。 塩が苦みを引き出しながら、同時に皮をやわらかくしてくれます。
切ったゴーヤに塩をふります。1本(200〜250gほど)に、小さじ1(約5g)が目安です。 まな板の上で、手のひらで軽く転がすようにこすってください。1〜2分もすると、表面が少ししんなりして、緑がぱっと鮮やかになります。そこが止めどきです。
面倒でも、ここは省かないでください。 -
塩を洗い流して、水気をふき取る
水で軽く洗って塩を落とし、キッチンペーパーでていねいに水気を押さえます。ここが甘いと、ぬか床が水っぽくなります。
ゴーヤはもともと水分の多い野菜です。せっかく育てたぬか床を守るために、この工程は軽く扱わないでください。 -
ぬか床に埋める
ゴーヤ全体が、ぬかに包まれるように埋めていきます。切り口の内側にもぬかが行き渡るよう、指で軽く押さえてあげてください。
表に出ている部分があると、そこだけ漬かりません。 -
空気を抜いて、表面を平らにならす
袋のぬか床なら、空気を抜いてから口を閉じます。容器の場合は、ぬかの表面を手のひらで平らにならしてください。
空気に触れる面が減ると、ぬか床が落ち着きます。 -
冷蔵庫で半日
12時間を基準にしてください。
きゅうりやヤングコーンのときと同じで、これはあくまで出発点です。半日で一度取り出して食べてみて、「もう少し」と思ったら次は15時間、「少し酸っぱい」と思ったら次は8時間。そうやって、ご自分の好きな時間を探していきます。 -
ぬかを洗い流して、切る
取り出したら、水でぬかを洗い流します。水気をふいて、食べやすい厚さに切ってください。
薄く切ると苦みが穏やかに、厚く切ると歯ざわりが立ちます。
食べ方
半月の形に切ると、緑の縁と白っぽい断面のあいだに、きれいな線が出ます。色が濃いので、白い器に盛ると涼しげです。
そのままでも十分ですが、ぬかオジのおすすめは、かつお節をひとつまみ。ゴーヤに残ったわずかな苦みと、ぬか床の酸味のあいだを、うまく取りもってくれます。
よく冷やして出すのが、いちばんです。
よくある質問
Q. 苦いのが本当に苦手ですが、それでも食べられますか
ワタをしっかり取って板ずりをすれば、生のゴーヤとはまるで別のものになります。ぬか床の乳酸菌のうまみが加わることで、苦みの角が取れるからです。それでも気になるという方には、ぬかオジは薄めに切って、漬け時間を8時間ほどから試すことをおすすめしています。
Q. 漬けすぎるとどうなりますか
基準の12時間から大きく延ばすと、酸味が立って、ゴーヤらしい香りが隠れてしまいます。食感もやわらかくなります。食べられなくなるわけではありませんが、ぬかオジは長く置きすぎないようにしています。見た目やにおいに変わったところがあれば、迷ったら食べずに処分してください。
Q. ゴーヤを漬けたあと、ぬか床に苦みは移りませんか
ワタを取って板ずりをしてあれば、ほとんど気になりません。もし香りが強く残ったと感じたら、ゴーヤを取り出したあとに全体をよく混ぜて、乾いたぬかを大さじ2〜3ほど足してあげてください。
ぬかオジのひとこと
ゴーヤは、苦い野菜として覚えられています。
けれどあの苦さは、ぬかオジ自身の手の雑さでもありました。ワタを残したまま、板ずりも省いて、それで「やっぱり苦い」と決めつけていた。野菜のせいにしていたわけです。
ぬか漬けをやっていると、こういうことに時々出会います。素材が悪いのではなく、こちらの手が足りていないだけ。
苦手だと思い込んでいる野菜、ありませんか。